M&Aにおけるデューデリジェンス（DD）をご存知ですか？これは、売却側企業の評価価値を決める大事な要素です。M&Aの成功にはデューデリジェンス（DD）が欠かせません。そこで今回は、デューデリジェンス（DD）の目的や役割について徹底解説します。
デューデリジェンス（DD）とは
M&Aの取引でしばしば耳にする「デューデリジェンス（DD）」ですが、その意味を理解している人は多くありません。まずは、その役割についてしっかりと確認していきましょう。
M&Aにおいての役割
デューデリジェンス(Due Diligence)とは、「適当な調査」を意味します。
会社の資産価値を適正に評価する手続きのことで、略して「デューディリ」「DD（ディーディー）」などと呼ばれたりするなど、重要なM&A用語のひとつです。
M&Aの成功には、買収企業に対する綿密な調査は欠かせません。デューデリジェンス（DD）は、互いの企業に対する、情報量の差異を埋める役割を持っています。
デューデリジェンス（DD）は、以下に分けて詳しく調査します。
- ビジネスデューデューデリジェンス
- 人事デューデリジェンス
- 技術デューデリジェンス
- 法務デューデリジェンス
- 事業デューデリジェンス
- 財務デューデリジェンス
M&Aでデューデリジェンス（DD）を行うことで、売却企業側が持っている問題点が明らかになります。そのため、買収企業側は安心してM&Aを進められます。
デューデリジェンス（DD）の期間
デューデリジェンス（DD）の期間は、対象企業の規模や構成により異なります。非上場企業で約1ヶ月、上場企業で2～3ヶ月ほどが一般的な流れです。また、実際に対象となる企業に赴いて調査を行う場合は、最短で2～3日、長くても1～2週間ほどで完了します。
M&Aにおけるデューデリジェンス（DD）の目的
デューデリジェンス（DD）はM&Aにおいて大きな役割を果たします。ここでは、さらにどのような目的を持ってデューデリジェンス（DD）を行うのかについてご紹介します。
ディールブレイカーの確認
M&Aでは、「ディールブレイカー」の確認が必要です。これは、デューデリジェンス（DD）で判明した問題点でも、M&Aを断念せざるを得ない問題点や課題点のことです。たとえば、美容サロンのノウハウや技術を目的に売却を検討したのに、それを持っていなかったなどが考えられます。ディールブレイカーは、初期の段階で見つけたい要素です。
企業価値の確認調査
デューデリジェンス（DD）は、人事・技術・法務・事業・財務などあらゆる視点から、企業価値を調査します。本当にその企業価値は正しいのか、買収するメリットはあるのかまで徹底的に分析することが目的です。売却企業側の帳簿だけで判断すると思っている人もいるかもしれませんが、さまざまな可能性を含めて総合的に調査します。
M&A手法の検討および、決定
デューデリジェンス（DD）の結果次第では、M&Aの手法（スキーム）を変更することがあります。というのも、スキームの検討や変更はリスク対策となるからです。たとえば、株式譲渡でM&Aを進めていたとします。しかし、調べてみると、資産総額を上回る負債額が判明した場合、結果として事業譲渡に変更する可能性もゼロではありません。
表面化した問題の契約書への反映
デューデリジェンス（DD）を行った結果として、新たな問題や課題が浮上した場合、M&Aの最終契約書の内容を検討し、作成し直す必要があります。最終契約書の表明保証条項では、正確な情報開示が保証されています。もし問題が判明した場合は、売却企業側に賠償させることも可能です。売却企業側はマイナス要素を隠さずに開示してください。
M&A成立後のための情報収集
M&Aは、契約締結後の経営統合作業（PMI）があります。経営統合作業（PMI）がM&Aの実質的な成功の鍵を握っているといっても過言ではなく、「事前交渉が2割、PMIが8割」ともいわれています。M&Aの事前交渉であるデューデリジェンス（DD）を計画的に行うことは、M&A成立後の運営方針を定めるために重要なプロセスです。
まとめ
M&Aによる売買は対価の取引です。売却額に相応しい企業評価を決めるには、デューデリジェンス（DD）なくして成立しません。美容サロンをM&Aでの売却を検討している経営者の中には、あまりデューデリジェンス（DD）について理解できていない人も少なくないでしょう。的確な評価をしてもらうためにも、専門家に相談してみてください。
